研究課題/領域番号 |
14571787
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤田 實 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90116658)
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研究分担者 |
内藤 久美子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10155632)
李 薫 広島大学, 病院・助手 (00294596)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 放射線治療 / 多分割照射 / 口腔癌 / 化学療法 |
研究概要 |
口腔癌に対する放射線治療による局所制御成績の改善を図ることを目的に、新鮮扁平上皮癌症例92例を対象として多分割放射線治療単独もしくは化学療法を併用した多分割放射線治療を行った。最終局所制御率は全体で約45%であった。1回線量が1.2Gyの多分割照射単独治療では従来の標準分割照射による放射線治療に比べ局所制御率が大きく異なることはなかった。化学療法を加えた群でも局所制御率の明らかな向上はみられなかった。一方で、化学療法を同時に行った群では、症例数は少ないものの向上を示した。1回線量を1.4Gyとした多分割照射単独治療では、化学療法同時併用1回線量1.2Gyの多分割放射線治療の結果とほぼ同程度の局所制御率を示した。化学療法を同時併用した1回線量1.4Gyの多分割放射線治療を行った症例はすべて局所制御が得られた。これまでの研究結果と同様に、放射線量と併用化学療法の影響が原発腫瘍のサイズによって現れ、低いT病期では制御率が高かった。局所進行癌は従来と同様の低い制御率であったが、手術非適応例を適応例にdown-stageさせることによって局所制御率を向上させる可能性が示された。一方で、化学療法同時併用放射線治療によって根治性が高まることが明らかになったことから、適応を選択すれば手術を回避できる症例の存在することも示唆された。しかし、いわゆる根治線量の放射線治療を行った症例では、晩期有害事象としての顎骨の変化が強度に現れた。これらの晩期有害事象の発生は治療後のQOLに大きく影響を及ぼすことから、歯科の立場からは全口腔単位での綿密な管理と経過観察の重要性が再認識された。しかし、放射線照射による歯周組織の変化がこの有害事象の原因であると考えられることから、多分割照射そのものに内在する不合理性を認識させられる結果となった。積極的な歯科的管理が治療成績の改善に影響する可能性が示唆された。
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