研究概要 |
塩基性DNA結合タンパク質のヒストン様タンパク質(HLP)に関しては、多くの新知見が得られはじめている。本研究ではS.anginosus groupに属するS.intermediusのHLPに対する抗体と、他菌種全菌体およびラット腎・胃切片との交差反応性について検討した。 抗HLPSi抗体作製法 S.intermedius UNS46株のHLPモノマー(HLPSi)のアミノ酸配列52から67位:EVRERAARKGRNPQTGをエピトープとした。アミノ酸のN末端にシステインを導入しKLHと架橋しウサギに免疫した。得られた抗血清を50%硫酸アンモニウム沈殿にて分画後、プロテインAおよび抗原ペプチド固定化カラムにて精製した。 エピトープと他菌種HLPとの相同性 S.pyogenes A374,S.aureus MU50,N315,E.coli O157:H7,P.aeruginosa PAO1の各HLPについてHLPSiエピトープ相当部位の相同性を検討した。 抗HLPSi抗体と各全菌体との反応性 S.anginosus group, S.pyogenes A374,S.aureus SMF-4(protein A非産生株),E.coli HB101,P.aeruginosa PAO1の各全菌体と抗HLPSi抗体との反応性をELISAにて測定した。 蛍光抗体染色 抗HLPSi抗体とラット腎・胃切片との反応性を共焦点蛍光顕微鏡で観察した。 (結果と考察)抗HLPSi抗体はS.anginosus groupだけでなくS.pyogenes全菌体とも強く反応性した。S.aureusとは弱く反応したが、E.coliおよびP.aeruginosaとは反応しなかった。抗HLPSi抗体はラット胃の平滑筋層および粘膜筋板と腎の血管壁に反応するため、抗平滑筋抗体としても作用する可能性が考えられた。
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