研究課題
基盤研究(C)
頭頚部疾患におけるMR診断能の向上をめざして、拡散強調MR撮像を応用し、その有用性の検討、診断基準の確立を行った。用いた装置は、GE横河メディカルの1.5テスラSIGNA Horizon LX 1.5T CV/NVである。拡散強調撮像シーケンスは、Single-shot EPIを用いたスピンエコータイプの拡散強調撮像で、motion probing gradient(MPG)パルスの大きさは、b=500及び1000 sec/mm^2を用いた。みかけの拡散係数ADC(apparent diffusion coefficient)は、各b値での病巣の信号強度から算出した。まず唾液腺に応用し以下の結果を得た。1.正常者では耳下腺より顎下腺の方がADCが高い。2.耳下腺腫瘍ではADCが低い。3.シェーグレン症候群患者ではT1gradeが高い症例ほど、また唾液の分泌量が少ない症例はど耳下腺のADCは低い。以上を論文として発表した(AJR2002;178:959-65)。次に頸部リンパ節疾患に応用し以下の結果を得た。1.ADCは、低い方から悪性リンパ腫、良性腫大リンパ節、転移リンパ節の順で、それぞれの間に有意差がある。2.転移リンパ節のなかでも原発巣が低分化型S.C.C.の場合は、高分化型S.C.C.の場合に比べてADCは低い。これらの結果を歯科放射線学会総会にて発表し(2003年、北海道)、また論文として発表した(AJNR2003;24:1627-34)。本研究により、ADCは唾液腺疾患、リンパ節疾患において、その重症度診断や鑑別診断に有用であることがわかった。特にリンパ節の内部変化を定量的に示すことが可能であるため、現在、当施設では、悪性リンパ腫、良性腫大リンパ節、転移リンパ節を鑑別する診断基準を設定し診断を行っており、良好な結果を得ている。
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