研究概要 |
[口腔扁平上皮癌の原発巣および所属リンパ節におけるDCサブセットの検索]口腔扁平上皮癌52例のパラフィン切片を用い、免疫組織学的に樹状細胞(DCs)を検索した。原発巣および近接組織ではS100^+>CD1a^+>CD83^+の順でDCsが認められた。所属リンパ節非転移症例に比較して、転移症例では、近接組織におけるS100^+DCsおよびCD1a^+DCsが少なく、逆に原発巣ではCD83^+DCsが多く認められた。所属リンパ節では、S100^+DCsおよびCD1a^+DCsは非転移症例と比較して転移症例で有為に少なく、逆にCD83^+DCsは転移症例で多く認められた。 [口腔扁平上皮癌原発巣におけるVEGF発現とDCs浸潤の検索]癌組織におけるVEGF発現の増加に伴い、S100^+DCsおよびCD1a^+DCsは減少していたが、逆にCD83^+DCsは増加していた。 [各種口腔癌培養株におけるVEGFの発現および分泌の検索]各種口腔癌培養株(HSC-2,-3,-4,Ca9-22,KB)いずれの培養株においてもVEGFの発現、分泌が認められ、Ca9-22に最も強くみられた。 [ヒト末梢血単核球(PBMC)からのDCの分化誘導とVEGFレセプター(VEGFR)発現の検索]PBMCから単球を分離し、IL-4とGM-CSFによりDCsを分化誘導し、免疫細胞学的に確認するとともに、VEGFR-1の発現を免疫細胞化学的およびwestern blotting法により認めた。 [口腔癌細胞培養上清および合成VEGFのDC分化誘導に対する影響]培養上清中に分泌型VEGFが最も強く認められたCa9-22の培養上清および合成VEGFのDCの分化誘導に対する影響をin vitroで検索し、著しく抑制的に作用することを認めた。
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