研究概要 |
3次元断面再構成の手法であるTACT (Tuned Aperture Computed Tomography)を,顎口腔領域の画像診断に応用した。口内法X線写真の立体化,すなわちステレオグラフィーの方法として,手軽,低線量,コンピュータに負担のかかる計算が不要などの利点がある。特に今回の臨床応用は,上顎前歯部の埋伏歯の位置・隣接歯との関係の描出を評価した。0000E journalの2003年1月号に掲載された論文は,in vivo clinical studyとしては,世界的にも他に例をみないもので高い価値があると思われる。我々の報告では,TACTによって作られた断面像をインタラクティブに操作して任意断面を観察することが,埋伏歯の処置に関する診断・処置方針を的確に行うことにおいて,臨床的有用性があることが確認できた。 TACTのツールの中で,擬似ホログラムpseudo-hologramの表現技術はあまり評価されていない。国際学会CARS2003などで発表したが,上顎前歯部の埋伏歯の症例のうち口蓋側-唇側方向に水平的な埋伏した場合に対する描出能を高めた。今後論文発表を行う予定である。 以上の研究は平面的なディスプレイで行ったが,画像の奥行きに対する表現を可能にする裸眼立体ディスプレイによる表示を現在試みている。その画面における三次元的な観察をバーチャルカーソルでインタラクティブに操作できるようにソフトウェアの開発を行っている。dento-alveolar imagingにおいては,局所的な病変の描出に対応する3次元的な描出法が求められている。そこで,観察が容易になったデジタルステレオグラフィーを,歯牙と顎骨のイメージングに応用する研究を進めている。
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