研究概要 |
X線画像はイメージセンサーに投影された2次元平面の情報であるが,3次元的に観察する場合,異なる投影方向によるX線画像を組み合わせて,立体的な位置関係を診ようとする。または,歯と顎骨のCT画像を作成し3次元的なデータから,任意の断面・曲面の画像を表示するもできる。そこで,「3次元的な物体を,正確に表示するのは3次元的な表示装置である。」という考え方から,裸眼で三次元画像の観察を可能にする液晶ディスプレイを購入し,「異なる投影方向によるX線画像を組み合わせで診る場合」と「歯と顎骨のCT画像による3次元的なデータで画像診断を行う場合」に応用して,立体的な解剖諸組織の認識・把握への影響を検討した。 3次元断面再構成の手法であるTACT(Tuned Aperture Computed Tomography)を,顎口腔領域の画像診断に応用した。口内法X線写真の立体化すなわちステレオグラフィーの方法として,手軽,低線量,コンピュータに負担のかかる計算が不要などの利点がある。今回の臨床応用では上顎前歯部の埋伏歯の位置・隣接歯との関係の描出を評価した。OOOOE journalの03年1月号及びBulletin of Tokyo Dental College 03年8月号に掲載された論文は,in vivo clinical studyとしては,世界的にも例がなく高い価値があると思われる。TACTによる断面像をインタラクティブに操作して任意断面を観察することが,埋伏歯の処置に関する診断・処置方針を的確に行うことにおいて臨床的有用性があることが確認できた。また,TACTのツールの中で擬似ホログラムpseudo-hologramの表現技術を評価したところ,上顎前歯部の埋伏歯の症例のうち口蓋側ロ唇側方向に水平的な埋伏した場合に対する描出能を高めた。この研究は平面的なディスプレイで行ったが,画像の奥行きに対する表現を可能にする裸眼立体ディスプレイによる表示を試みた。その画面における三次元的な観察をバーチャルカーソルでインタラクティブに操作できるようにソフトウエアの開発を行っている。 dento-alveolar imagingにおいては,局所的な病変の描出に対応する3次元的な描出法が求められている。そこで,最終年度には,観察が容易になったデジタルステレオグラフィーを,歯牙と顎骨のイメージングに応用する研究を進める。
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