研究概要 |
ステンレス製手用Kファイルを刃部先端から10mmおよび15mmのところで切断したものを試料とした,ファイルの切断端から5mmの長さだけ外径0.70mm(内径0.45mm)の金属チューブに挿入し,チューブの反対側から挿入した導光用ファイバーをKファイルの切断端に接触させ,Nd : YAGレーザーを1パルス照射し,ファイルの破折片と金属チューブを溶接する実験を行った.照射出力は500mJ,700mJ,900mJ,1800mJ,2700mJとした. #15のファイルを長さ15mmで切断したものを試料とした場合,照射出力が1,800mJおよび2,700mJでは,溶着されたが,ファイバー先端部付近の金属チューブに一部穿孔を生じ,チューブ内から金属が飛散した.このため,1,800mJ以上の照射条件は臨床での使用に適さないことが判明した.このため以後の実験は900mJ以下の照射条件を使用した.同じ条件の試料では,500mJ,700mJ,900mJのいずれの場合でも溶着が可能であったが,各条件ともに溶着に失敗する場合も見られた.溶着部を実体顕微鏡で観察したところ,ファイルの全周にわたり均一に溶着している訳ではなく,部分的にレーザー照射の影響が見られないところもあった. この条件よりも細かいファイル断面を持つ試料(#15を10mmで切断,#10を10mmおよび15mmで切断)したものでも溶着が可能であった.現在,これらの試料について引張り試験を行い,ファイルおよびレーザー照射条件の違いによる違いについて検索中である.今後,より細い断面積のファイルへの溶着や,レーザー照射回数を変化させた実験を行う予定である.
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