研究課題/領域番号 |
14571812
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 美加子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40271027)
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研究分担者 |
木ノ本 喜史 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10252694)
今里 聡 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80243244)
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キーワード | 垂直性歯根破折 / 接着再建・再植法 / 接着性レジンセメント / 破壊抵抗性 / ファイバーポスト / 鋳造メタルポストコア / 根管清掃剤 / 根管象牙質 |
研究概要 |
本研究は、「垂直性歯根破折歯の接着再建・再植法」を予知性の高い治療法として確立するために、築造方法と根管象牙質の接着の観点から、最も耐久性の高い接着再方法を確立することを目的に取り組んだものである。 ヒト抜去小臼歯を、1)ファイバーポストとレジンコア、2)既製メタルポストとレジンコア、3)鋳造メタルポストコア、のいずれかで支台築造を行って、圧縮試験に供し、破壊抵抗性を評価した。なお、コントロールは全部鋳造冠の形成を行った天然歯とした。その結果、鋳造メタルポストコアによる築造の破壊抵抗性が最も高く、既製メタルポストによる築造の破壊抵抗性が最も低いことがわかった。さらに、ファイバーポストによる築造と全部鋳造冠の形成を行った天然歯では破壊抵抗性が同等であった。 次に、根管清掃剤がレジンセメントと根管象牙質の接着に及ぼす影響を評価した結果、象牙質接着システムによって、根管清掃剤がレジンセメントの根管象牙質の接着に与える影響が異なることが明らかになった。すなわち、セルフエッチングシステムを用いた場合には、EDTAによる過脱灰のために接着強さが低下していた。ウエットボンディングシステムを用いた場合には、レジンタグの形成が接着強さに影響を及ぼした。 一方、動物実験にて接着再植歯の予後評価に取り組んだものの、再植歯の固定と咬合力のコントロールの難しさから、再植歯の安定した生着を得ることができず、垂直性歯根破折歯の接着・再建再植法の動物実験モデルの確立は今後の課題として残された。 以上のように、本研究では、垂直性歯根破折歯に対する接着再建・再植法の安定した予後のために、耐久性の高い接着再建方法を確立することができた。確立した修復方法を、in vivoあるいはin situで評価することが今後の課題であり、さらなる研究の必要性を強く感じている。
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