研究課題/領域番号 |
14571813
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鳥井 康弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10188831)
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研究分担者 |
吉山 昌宏 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10201071)
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30050058)
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キーワード | 象牙質 / 接着強さ / コンポジットレジン / アミノ酸誘導体 / 分子構造 |
研究概要 |
本研究では、生体構成単位であるアミノ酸を骨格とする分子構造の異なる数種のモノマーを新規合成して、その水溶液をセルフエッチングプライマーとして象牙質に作用させコンポジットレジンとの接着強さを調べ、モノマーの分子構造と象牙質接着性との関連を検討した。 まず、カルボキシル基を1つもつグリシンのアクリルモノマー(N-acryloy Glycine ; AGly)およびカルボキシル基を2つもつアスパラギン酸モノマー(N-acryloyl aspartic acid ; AAsp)を合成し象牙質接着性能を調べたところ、象牙質接着界面の形態学的観察では差は認められず両者の象牙質脱灰能はほぼ同等と考えられるものの、N-AAspはN-AGlyよりも高い接着性能を示した。これは、カルボキシル基は水中で解離して酸性を示すが、過去の報告にあるように非解離カルボキシル基が象牙質のコラーゲンと相互作用するため、カルボキシル基を複数もつAAspが有利であると考えられた。 次いで、AAspと同じく2つのカルボキシル基をもち主鎖の構造は同じで側鎖の構造のみ異なるN-acryloyl Glutamic acid (AGlu)を合成し、AAspと接着効果を比較した。その結果、研削象牙質への接着強さではAGlu処理は効果がなく、AAsp処理は効果を認めた。一方、スミヤー層除去後にAGlu処理するとAAsp処理と同等の効果があった。以上より研削象牙質では、カルボキシル基を2つ有してもpKaが低く解離しやすい構造のものが有利であるが、前処理としてある程度の脱灰を行えば非解離状態のカルボキシル基が存在しやすい構造が有利となると考えられた。 本研究より、これらのアミノ酸骨格モノマーは象牙質とレジンとの接合材としての機能発揮が期待できることおよびカルボキシル基を2つもち、その解離のバランスが歯質接着性の発現に重要であることが示唆された。
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