研究課題/領域番号 |
14571818
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
塚田 岳司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (70236850)
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研究分担者 |
鳥居 光男 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30116066)
松下 健二 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (90253898)
田中 利明 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (80332899)
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キーワード | 形状記憶 / トランスポリイソプレン / 根管充填材 |
研究概要 |
1.形状記憶ポリマー作製法の確立 形状記憶ポリマー作製は以下の手順で行った。まず、トランスポリイソプレン(TPI)を90℃に加熱して軟化し、十分に可塑性が得られた状態で架橋剤である硫黄、ジクミルペルオキサイドや架橋促進剤である酸化亜鉛、ステアリン酸を添加して混練りを行い作製した未加硫ゴムを試料作製用金型に填入し、20Kg/cm^3の圧力をかけ、150℃で120分間の加熱処理で加硫を行い、形状を記憶させた。以上の手順によって作製した試料は、TPIの融点以上ではTPIの非晶化によってゴム状となり容易に変形できる。変形させた試料をTPIの結晶化温度以下まで冷却すると、TPIの結晶化によって変形が固定される。しかしながら架橋によって変形固定前の形状が記憶されており、TPIの融点以上に再び加熱することによって元の形状へと復元させることが可能である。 2.理工学性質の測定 根管充填材として最も適した理工学性質を持つ形状記憶機能材料を作製するために、TPIと共加硫が可能なシスポリイソプレン(CPI)を配合した試料や、架橋剤の添加量をいろいろと変えた試料を作製し、それらの熱的、機械的性質について調べた。まず、材料の粘弾性的性質を調べるために、引張圧縮試験機を用いて緩和弾性率の測定を行った。さらに、変形回復特性を調べるために、形状の回復はレーザー変位計で、また、変形回復応力は引張圧縮試験機を用いて測定を行った。その結果、TPIの結晶化による変形の固定が可能な範囲内では、CPIとTPIの共加硫や架橋密度の増大は、変形回復温度を下げるのに有効であり、変形回復温度を口腔内温度に設定することも可能であることが明らかとなった。また、CPIの配合率が高くなるにしたがって、緩和弾性率が低下し変形回復応力も低下したが、架橋剤の添加量が増加するにしたがって、緩和弾性率が上昇し変形回復応力も上昇した。以上の結果より、形状記憶ポリマーの熱的、機械的性質の調節は比較的容易に行えることがわかった。
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