研究課題
基盤研究(C)
広域抗生物質の一つであるマクロライド系抗生物質が、細菌に対する増殖抑制以外に、炎症性サイトカインの発現を著名に抑制する働きを有することがいくつかの研究から明らかにされてきている。また、現在、び慢性肺炎などを始めとするいくつかの組織炎症の治療に対し、本抗生剤の臨床応用が開始されている。そこで近い将来、マクロライド系抗生物質を根尖歯周組織の炎症に対し治療薬として臨床応用する上で、その骨吸収抑制の基礎的な作用機構を分子生物学的に解析する事は、同組織に及ぼす副作用、さらにはその投与方法、投与量など治療薬への利用に向かい極めて重要である。本研究は上記の点を詳細に検討し、マクロライド系抗生物質による根尖周囲組織における炎症調節機構の一端を明らかにすることを目的とした。現在までに、LPSによる骨吸収刺激作用がマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンにより著名に抑制されることが明らかにされている。そこで、この抑制機構を分子レベルで検討する事とし、本薬剤の慢性炎症性疾患に対する治療薬としての応用性を検討した。まず、LPSによる骨吸収刺激作用のメディエーターである炎症性サイトカイン及びCD14の発現と、本抗生物質によるその抑制機構を検討した。また、骨吸収活性に対する本抗生物質の抑制作用が、破骨細胞の分化抑制によるものか、あるいは機能抑制によるものであるのかを検討した(研究分担:菊地)。さらに、本抗生物質の細胞障害性に関し検討を加えた(研究分担:坂上)。その結果、本抗生剤は、LPS刺激による破骨細胞前駆細胞から成熟破骨細胞への分化を有意に抑制することが明らかとなった。また、この抑制効果を示す濃度においては、本抗生剤による、細胞傷害活性は認められなかった。これらの結果から、エリスロマイシンが根尖性歯周炎などの、細菌感染による炎症性骨吸収に対する有効な治療薬となり得ることが示唆された。
すべて 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (10件)
Anticancer Res 24
ページ: 737-742
ページ: 1481-1488
Anticancer Res 23
ページ: 3237-3241
ページ: 2385-2389
Meikai Univ Dent J 31
ページ: 204-209