研究課題/領域番号 |
14571822
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
高瀬 保晶 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (60171443)
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研究分担者 |
天谷 哲也 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20328264)
平井 義人 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80119742)
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キーワード | 2波長発振レーザー / 可変波長レーザー / 硬組織 / 切削性 / 耐食性 |
研究概要 |
2波長発振レーザーはレーザーダイオードによりNd:YAG(波長1.06μm)を励起して、その後オプティカルパラメトリック発振器(OPO)により波長を変換して2.1μmを境に長波長側、短波長側に同時に波長を可変出来る2波長のレーザーを得る装置である。このことにより1.6から4.0μmの波長域のレーザー光を得ることと、また2波長同時に発生することが可能な装置である。 今回、3μm帯を歯の硬組織を切削する有効とされるEr:YAGと同等の2.94μmの波長を用いた。このため2μm帯は1.61μmとなり、同一の発振器より取り出した。臨床応用をシミュレーションするため導光ファイバー、ハンドピースを通して、広帯域レーザーパワーメーター(パワーメーター:LASERSTAR、ディテクター:L30A-SH・オフィール社製)を用いて2波長の出力を得ることを確認した。2,94μm帯は齲蝕象牙質の切削においては十分な切削能力を発揮したものの、健全象牙質においてはやや劣っていた。このことは市販のEr:YAGレーザー装置と比較して、歯の切削に有効である3μm帯(40pps)ではエナメル質の十分な切削性能を得るまでには至らなかった。さらに高出力を得るには容量の大きなOPOを用いること、レーザー装置の多段スタック、また導光系の減衰を抑えることなどが必要であることが示唆された。 動物実験において、象牙質に対する窩洞形成を行った結果、歯髄の炎症性変化は少なく、優れた成績を示した。このことより、2波長発振レーザーによる硬組織の切削は、エナメルに対しては効率が劣るものの、安全な切削性を示すことが判明した。
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