研究概要 |
好中球やマクロファージから産生される活性酸素を含むフリーラジカルは生体に対して為害性をもたらすことがいわれている。生体防御系として働いている酵素のなかで特にスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)はスーパーオキサイドを不均化する酵素として認識されている。今回炎症をきたしたヒト歯髄細胞と正常細胞とでのSOD活性を2種類の方法を用いて検討し、歯髄におけるSOD活性測定法の確立を試みた。またそれと同時に歯髄細胞内において、炎症時におけるSOD(Mn-SODとCu, Zn-SOD)の遺伝子発現と炎症性サイトカインの遺伝子発現について検討を行った。 結果:1.炎症をした下歯髄細胞においてESR spin trapping法を用いてスーパーオキサイドを検出した。 2.Radical EIA法とNBT法を用いて歯髄細胞内SOD活性測定した結果、NBT法では活性測定数値が高く検出される傾向であった。 3.歯髄における炎症性サイトカインの発現はIL-1βは3時間後から発現し6時間後においてピークであった。Cu, Zn-SODに関しては最初から24時間後まで発現が認められた。またMn-SODは6時間後から検出された。 以上の結果から本研究において歯髄内におけるSOSAはNBT法よりもRadical-EIA法を用いたほうが信頼性があり、歯髄内においてSODの発現は炎症に抑制的に働くIL-4やIL-8を発現し炎症反応を軽減させる働きがあることが示唆された。
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