研究概要 |
実験に用いたNi-TiファイルはEndoWave,ProFile,Quantec,K3である。根管の拡大形成のステップ毎の形成量を,二次元的に観察するために透明直線根管模型を用いて、各ファイルの操作手順に従い,デジタルマイクロスコープを用いて撮影した。その結果,EndoWaveでは太さとテーパー度が違う5本のファイルを用いたが,2,3番目がそれぞれ最終拡大面積の約25%の形成量であった,ProFileでは太さとテーパー度が違う5本のファイルを用いたが,1,3番目がそれぞれ約40%の形成量だった.Quantecでは太さとテーパー度が違う9本のファイルを用いたが,1,3,7番目がそれぞれ約20%の形成量であった,K3では太さとテーパー度が違う6本のファイルを用いたが,1番目と2番目で約80%の形成量だった.従ってファイルの種類によって拡大形成に違いがあることがわかった.次に天然歯に各ファイルを上記の操作手順に従って,拡大形成したものを2分割した.一方はそのまま,他方は薬剤にてスミヤー層を除去し,それぞれのスミヤー層とデンティナルプラグ(DP)を根管の歯冠側,中央部,根尖側に分けて電子顕微鏡にて観察した.EndoWaveのスミヤー層は根管中央部,根尖側において鱗状に観察され,DPはほとんどの象牙細管に存在した.ProFileではすべての根管壁に直線的に切削痕のある鱗状のスミヤー層が観察され,DPはすべての象牙細管に存在した.QuantecではProFileと同様のスミヤー層が観察され,DPはほとんどの象牙細管に存在し,所々象牙細管が開いている像が観察された.K3ではすべての根管において鱗状のスミヤー層が観察され,DPはほとんどの象牙細管に存在し,所々象牙細管が開いている像が観察された.従ってファイルの種類により,スミヤー層の形態やDPの存在に違いがあることがわかった.
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