研究概要 |
マイクロフォーカスX線CT装置MCT-CB100MF(日立メディコ)を用いることで、接着性修復物を充填した試料内部の観察が可能であることがわかった。そこで、レジン硬化途中の接着性修復物の内部に変化が生じているのか否かに注目した。 抜去後、歯根および歯髄を除去し冷凍保管したウシ前歯を実験直前に解凍し、唇側面に直径4.6mm、深さ2.6mmの円柱状窩洞を形成した。充填に用いたコンポジットレジンはクリアフィルAP-X(A3,KURARAY)および接着システムとしてクリアフィルメガボンド(KURARAY)とした。通法通り歯面処理を行った後にコンポジットレジンを充填し、光照射を行う前にMCT-CB100MFにて充填直後のコンポジットレジン内部の状態を計測した。次に15秒光照射を行い、ふたたびMCT-CB100MFにて計測、以降15秒、30秒、30秒の光照射後にMCT-CB100MFによる計測を繰り返し同一試料で行った。計測の終了した縦断面のデータを観察すると、光照射前と後でアウトラインに明らかな変化が認められた。すなわち、光照射前では、コンポジットレジン最表層は若干凸であったのが、光照射を行ったことでその豊隆がわずかに減少するのが観察できた。さらに、コンポジットレジン内部のデータから、充填時に混入したと思われる気泡が、光照射と共に若干移動しているような様子も観察できた。 現在、更に詳細な内部変化を観察する目的で、充填後の光照射条件を15秒よりも短い時間設定として実験を継続している。
|