本研究は臨床的に試料採取を行い、研究に供するために、根尖切除、根尖掻爬等外科的処置の際に、根尖部の歯根表面をスケーラーにてキュレッテージを行い、付着物の試料をPCR用保存液に直ちに浸漬して冷凍保存し、後に加温して、PCR検索に供している。一部はグラム染色を行った。 外科的処置の際に切除された根尖は直ちに固定液に浸漬後、試料を未処理無蒸着でSEMにて観察を行っている。 またファイバースコープにて観察を行い、歯根表面に歯石様付着物が認められる症例に関しては、外科的処置に移行した場合は上記の手順に準じて、外科的処置に移行しない場合はフィステルより器具用チャンネルを備えたファイバースコープを使用し、専用ファイルにて歯根表面を切削、削片を回収し、上記の手順にてPCR法による検討を行っている。 現在までの結果としては、全ての検索方法で根尖部の付着物に細菌の存在が確認されたのは6症例中4例である。 現在の問題点 ・試料採取方法、PCR法を行うまでの試料の保存方法を更に検討する必要性があると思われる。 ・SEM観察は試料を他の検索方法に使うために、無処理、WETな状態での観察を試みているが、高倍率の観察では鮮明な観察像が得られず、他の方法を検討中である。 ・使用しているファイバースコープの劣化が進み、また観察部位の特性から、焦点深度が不適当なものもあるため、ファイバースコープの新規購入や試作を行っている。
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