研究課題
基盤研究(C)
1.目的:顎機能は咀嚼筋の共同作業により行われているが、ひとつひとつの咀嚼筋が顎機能にどのように関与しているかの詳細は明らかではない。それぞれの筋の顎運動に対する作用を明らかにするために、本研究では、頬骨弓の形成不全のため咬筋機能が低下する鎖骨頭蓋異形成症の症例の咀嚼筋機能分析を行い、咀嚼運動時における咬筋の機能的役割、他の咀嚼筋による代償の様態の解明をはかることを目的とした。2.被験者:鎖骨頭蓋異形成症患者を被験者とした。被験者には研究の目的・方法を説明し、同意を得たうえで行った。3.結果(1)顎顔面の骨形態:鎖骨頭蓋異形成症患者のCT像より頬骨弓の不連続、および筋突起は上後方をむいた特徴的な形態となっていることが確認された。(2)咬筋の付着:頬骨弓は不連続であるにもかかわらず、咬筋はCT上、側頭骨頬骨突起と頬骨に起始をもつようにみられた。頬骨弓の不連続部分における咬筋付着様態は不明である。(3)咬筋の厚さ:CT上で測定した咬筋の最大の厚さはコントロール群より有意に小さかった。(4)筋電図:咬筋、側頭筋の表面筋電図では、咬筋の筋活動量は小さく、また側頭筋後部に正常ではみられない筋活動パターンが観察された。顎機能の維持のため特徴的な筋活動パターンとなっていると考えられた。4.まとめ:鎖骨頭蓋異形成症では頬骨弓の不連続のため咬筋機能を十分支えることができず、咬筋は筋幅が小さく筋機能も低下すると考えられた。この代償作用として、側頭筋では筋活動量が大きいという機能的特徴を有していた。以上より、咀嚼筋は相互の代償作用により全体としての顎運動を保ち、顎機能を維持していることが示された。
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Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 99(2)
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