1.特別養護老人ホームでの口腔ケアの効果判定 特別養護老人ホーム1施設において、歯科衛生士が施設入所者に対して口腔ケアを行い、口腔の歯垢付着度、カンジダ菌、口腔ケアに対する施設入所者の反応などを調査した。その結果は以下のとおりであった。1)専門的口腔ケア介入時点では口腔衛生状態は必ずしも良好ではなかった。2)専門的口腔ケアにより施設入所者の口腔衛生状況が改善した。3)専門的口腔ケア介入終了後、口腔衛生状態が悪化する高齢者がいた。4)介護職員による口腔清掃は拒否しても歯科衛生士による口腔ケアを受容する高齢者がみられた。5)専門的口腔ケアの介入中または介入終了後に高齢者の歯の喪失や補綴装置の脱離が認められたが、介護職員はその事態に気づいていなかった。以上の結果から、歯科衛生士による口腔ケアは有効であり、歯科衛生士の定期的な介入が必要であることがわかった。 2.介護スタッフに対する口腔保健教育の効果 特別養護老人ホームの介護職員を対象に、歯科衛生士が要介護高齢者の口腔ケアについて教育・指導を行った。介護職員にアンケート調査を行い、その効果について評価した。1)介護職員は自らの口腔の健康に気を使うようになった。2)介護職員は施設入所者の口腔清掃を積極的に行うようになった。3)歯科衛生士による口腔ケアは介護職員よる口腔清掃よりも効果があると考える介護職員がいた。以上の結果より、歯科衛生士による口腔清掃のサポートが必要とされていることがわかった。 3.介護職員の口腔ケアに対する評価 介護老人福祉施設で口腔ケアに関する教育を介護職員に行い、介護職員による口腔ケアの評価を調査した。その結果、口腔ケアを行うことにより、食事や全身状態によい影響があったと評価した介護職員は必ずしも多くはなかった。
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