研究概要 |
平成14年度の研究計画は、上下義歯の動揺、衝撃力を計測する超小型加速度センサを用いた義歯動揺量計測システムを製作し、校正実験を行うことである。著者らは民生用の小型加速度センサを用いて2次元変位量計を試作し精度検定を行った結果、以下の結論を得た。 1.本システムは2軸加速度センサADXL202(Analog devices, Inc.),センサ制御部に(peripheral interface controller)、チップ抵抗、チップコンデンサより構成され非常に小型で廉価な測定システムである。 2.本センサは静的加速度も計測できるため、加速度出力の較正には重力を利用することができる。そのため高価な校正用加振動器を使用する必要ない。 3.直流成分の除去では直流値推定法,差分法、ハイパスフイルタ法の順で平均二乗誤差が小さくなった。ハイパスフィルタ法では上方にオーバーシュートを生じ、それに続く平坦部も右下がりになった。また2サンプリング時間遅延を生じた。 4.加速度出力に含まれるノイズの除去はウェーブレット変換を用いる方法が一般多項式によるカーブフイットを用いる方法より、処理時間、精度において優れていた。 5.本システムのサンプリング周波数は72.5Hz、測定精度は重力を利用した較正法では3%レーザ変位計による最小2乗法を用いた測定系全体の較正では0.5%となった(P-P値、4.5Hz正弦波)。 6.以上の結果より、変位量計としての本システムの有効性が示唆された。
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