研究概要 |
「短縮歯列弓患者のVF装置による咀嚼・嚥下、舌運動に関する動画像データの採取、解析」 平成14年度は短縮歯列弓患者を12名確保した.被験者は片側遊離端欠損者のみに限定し,片側処理による部分床義歯の製作し、装着するところまで行って、咀嚼・嚥下のVF撮影、咀嚼効率試験を行った。片側処理の理由は、治療による侵襲を少なくすることおよび健全側と義歯による補綴側で咀嚼したときの咀嚼効率の変化と咀嚼・嚥下運動、及び舌運動の変化を解析するためである。咀嚼効率に関してはピーナッツ3g咀嚼時の嚥下までの咀嚼回数と粉砕度を10メッシュ通過率によって検討した。咀嚼効率のデータおよびVFデータは一括してDVDメディアに蓄積し,保存した。 「臨床評価および口腔生理学的検討」 短縮歯列弓患者の義歯の装着の有無により咀嚼効率の変化および咀嚼・嚥下運動、舌運動から臨床的評価を行った。臨床評価には、患者にとって義歯の装着が有効であるかに関してのアンケート調査もVAS法によって行った。また、義歯の有無によるピーナッツ咀嚼効率の変化を篩分法によって解析し,短縮歯列弓の被験者に義歯を装着した場合のデータの比較検討を行っている。 本研究の症例かぎり、従来、部分床義歯の片側処理による補綴はあまり勧められていなかったにもかかわらず現在のところ全ての症例で患者の満足が得られ、問題になる点も生じていない。 また、人間の口腔咽頭の感覚や舌運動を司る神経系の口腔生理学的検討を行い、研究データの解析を深めている。 「VF動画像解析法の検討」 得られたVF元データの定量的なデータ解析を行うため画像処理用パソコンに取り込み、加工データの咀嚼開始〜嚥下終了の舌運動の動画像データの画質を最高に保ち、画質を落とさず利用できるように最低限のデータの質を確保する条件決めを行った。
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