研究課題/領域番号 |
14571851
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂井 貴子 九州大学, 大学病院, 講師 (60128022)
|
研究分担者 |
松尾 拡 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (70238971)
小林 家吉 九州大学, 大学院・歯学研究院, 講師 (40243951)
坂井 英隆 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (80136499)
寺田 善博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (30038898)
|
キーワード | 加齢 / 歯周組織 / アポトーシス / 老化遺伝子 |
研究概要 |
生後3週齢から70週齢までの雄C3Hマウスの下顎第一臼歯の歯周組織、頬粘膜、舌粘膜、唾液腺、皮膚、腎臓および肝臓を採取し、全細胞に対するBrdU陽性細胞の割合と全細胞に対するTUNEL陽性細胞の割合を求め、週齢間での変化を検討した。上皮組織ではBrdU陽性率にもTUNEL陽性率にも週齢間の変動がなく、上皮組織は加齢による細胞増殖と細胞死への影響がないことが示された。30週齢と70週齢の皮膚毛嚢のBrdU陽性率が20週齢の陽性率に対して有為に減少し、毛嚢の減少は細胞増殖の減少によることが推測された。歯肉上皮下結合組織のBrdU陽性率には変化はなく、TUNEL陽性率が20週齢から増加していたことから、歯肉上皮下結合組織の細胞数の減少にはアポトーシスが関与していることが示された。頬粘膜の上皮下組織ではBrdU陽性率にもTUNEL陽性率にも変化はなかった。舌粘膜上皮下結合組織では5週齢でのBrdU陽性率が有意に高かったが、老年齢群での変化はなく、また、TUNEL陽性率にも変化がなかったことから、これらの組織では加齢による細胞数の減少はないと考えられた。皮膚真皮では、50週齢以降BrdU陽性率は減少したが、TUNEL陽性率は変化しなかったことから、真皮での加齢変化には細胞増殖率の低下が関与していると考えられた。唾液線粘液細胞のBrdU陽性率は50週齢でやや増加するが、70週齢で低下し、TUNEL陽性率は20週齢のみで有意に高いことから、組織学的にみとめた細胞数の減少は、アポトーシスとその後の増殖の低下によると推測した。漿液細胞のBrdU陽性率の変化はなく、TUNEL陽性率は20週齢で有意に増加し、その後も高い傾向があることから、細胞数の減少にはアポトーシスが関与していると考えた。肝臓のBrdU陽性率は5週齢で高いのみでその後の変化はなく、TUNEL陽性率は50週齢と70週齢で有意に増加することから、老化に伴う細胞数の減少にはアポトーシスが関与していると考えた。腎臓皮質尿細管のBrdU陽性率が20週齢以降減少したが、TUNEL陽性率は15週齢で高いのみで他週齢では変化がなかった。また、腎臓髄質ではBrdU陽性率、TUNEL陽性率ともに変化がなかったことから、腎臓では細胞数の減少には皮質の細胞増殖の低下が関与していることが推測された。以上のことから、経週齢的変化は臓器により異なり、細胞増殖の低下が主であるものと、アポトーシスが主であるものがあり、歯周組織は早期からアポトーシスによる細胞死がはじまることが特徴的であると考えられる。 10週齢と15週齢の歯肉組織を用いたsubtraction法により、10週齢に多く15週齢に少ない遺伝子を68、10週齢に少なく15週齢に多い遺伝子を51検出した。
|