研究概要 |
本年度は,各年齢層の作業条件の違いに対する精神的緊張度について,手掌部発汗量及び脈拍数を用いて調査を行った. 1.被験者は,青年有歯顎群(平均年齢25.6歳,男3名女6名),高齢有歯顎群(69歳,男1名女1名).課題は,連続音(0.3Hz,1.3Hz)指令・ランダム音信号指令下顎タッピング運動,音無拘束下顎タッピング運動,分析項目は,1〜30回目までのタッピング時の手掌部発汗量と脈拍数とした(ランダム1〜129回). 2.脈拍数平均(単位 回/min.)は,1.3Hz音信号連続タッピング(青年群71.9,高齢群72.9),0.3Hz音信号連続タッピング(青年群68.6,高齢群74.8),ランダム音信号タッピング(青年群69.7,高齢群72.4)であった. 3.発汗量平均(単位 mg/cm^2・min.)は,無拘束タッピング(青年群0.87,高齢群0.49),1.3Hz音信号連続タッピング(青年群0.93,高齢群0.31),0.3Hz音信号連続タッピング(青年群0.98,高齢群0.35),ランダム音信号タッピング(青年群0.94,高齢群1.2)であった. 4.脈拍数継時的変化をみると,遂行が難しい0.3Hz(分析区間 約100sec)とランダム(分析区間 約200sec)で高齢群はバラツキが大きい傾向が見られた. 5.発汗量の継時的変化をみると,分析区間が30sec内と短い無拘束と1.3Hzタッピングで増加後減少傾向を示しているのに対し,青年群0.3Hzとランダムで継時的に減少傾向,高齢群ランダムでは平均値・バラツキが著しく大で,0.3Hzでは継時的変化はほとんどない傾向にあった. 6.以上の結果も,高齢群は条件または環境変化の影響を特にそれが難しい場合に,青年群より受け易いことを示唆している.
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