研究概要 |
フェノール化合物は抗炎症作用、抗癌作用などの生物活性はフリーラジカル捕捉性と密接に関係している。メトキシフェノール類(eugenol, anisole, surcuminなど)、catechin、フラボノイド類のstoichiometric factor (n) (1モルのフェノール分子当たり何個のラジカルを捕捉するか)をMMA-BPO重合系の誘導期間法で算定した。メトキシフェノール類のn値は2個以内であった。Eugenolやcurcuminは最終的にはn=1の値を取り、2量体の形成が示唆された。一方、catechinなどポリフェノール類はepigallocatechin-3-O-gallate(5.5),catechin(3.5),resveratrol(2.4),quercetin(1.9),n-propylgallate(1.5),hesperatin(1.0)であった。半経験的分子軌道法でフェノール水酸基のホモリテック解離エネルギー、フェノール類のHOMO, SOMO, LUMOの分子軌道間の相互作用をエネルギー差を計算し実測値と計算値を比較検討した。フェノール水酸基のホモリテック解離エネルギーはstoichiometric factor値と一致しなかった。しかし各ポリフェノール類のHOMO, SOMO, LUMOエネルギー差により酸化度つまりstoichiometric factor値を計算すると、この値は実測値とほぼ一致した。化学計算法は有用であることが分かった。
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