研究概要 |
フェノール類のラジカル捕捉のメカニズムを明らかにするためAIBN-MMA, BPO-MMA系に各種polyphenol類、monophenol類を添加し、70度CでDSC重合し誘導期間、初期重合を求めた。また、thiolの影響も検討した。Thiolとしては、mercapto-1-methylimidazole (MMI)を用いた。Phenolの、抗酸化効力は誘導期間に反映されていた。BPOシステムニオイテ、catechinにMMIを添加すると、誘導期間はcatechinのみ系に比べ減少した。これは本実験系に存在する微量の酸素が消費されることによると考えられた。MMIがチイルラジカルとなり、酸素と反応した為と考えられた。一方AIBNシステム(Rラジカル)ではこの現象がみられなかったので、BPOのROOラジカルが関与することが示唆された。一方eugenolではMMIの添加は反って誘導期間の増大を示したのでMMIと,eugenolの反応が示唆され、新規の抗酸化剤製成されていると考えられた。resveratrol, curcuminでもcatechin様反応がみられた。ラジカル反応系へのMMIの添加による酸素要求性は、細胞系へ上記のpolyphenol添加が活性酸素を産生させる実験結果と関連性がある。細胞系における活性酸素の産生はグルタチオンにより消去された。各種フェノール化合物のphenolic O-H groupのbond dissociation energyがsemiempirical PM3 calculationにより行われた。誘導期間とbond dissociation energyの間に相関性がみられた。Polyphenol類はRラジカルとROOラジカル相互作用が著しく異なっていた。ROOラジカル反応性が大きかった。phenolic O-H groupの影響を検討するため、キノン類のラジカル捕捉を検討した。2,6-di-t-butyl-4-methylphenol関連キノンを用いた。これらは誘導期間が短いものの、初期重合速度を低下させた。したがってメチルメタクリレート(MMA)成長ラジカルを抑制した。以上のことから。phenol類のラジカル酸化により製成されるキノン体はラジカルを捕捉に影響することが分かった。
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