研究概要 |
マウス顎顔面におけるCBFA-1およびBMP-4の局在と遺伝子発現を免疫組織化学的方法を用いて比較検討した。 CBFA-1の反応は前頭部および鼻骨を形成する部位の間葉細胞に強い免疫反応がみられ,この反応は胎生12日に較べて胎生13日では頭蓋底や頭頂方向へ広範囲にみられる傾向を示した。胎生14日,15日および16日では,下顎では免疫反応は骨梁に沿う骨芽細胞に強かった。顎顔面では前頭骨と鼻骨の縫合部および頭蓋底で極めて強い反応がみられた。 CBFA-1の免疫反応は胎生期12日および13日では,Meckel軟骨は軟骨周囲の軟骨芽細胞に最も弱く,増殖期軟骨細胞の反応は休止期よりも強く,それ以後では肥大期軟骨細胞に最も強い反応がみられた。 歯胚における局在は雷状期では,歯蕾中央部および歯胚周囲の歯槽骨を形成する部位の間葉細胞に強かった。帽状期では,免疫反応はエナメル器やprimary enamel knotの上皮細胞に強い。鐘状期では,反応は歯堤の上皮細胞と歯乳頭、歯小嚢の細胞およびsecondary enamel knotの上皮細胞に強い。また,きわめて強い免疫反応が咬合面の厚いエナメル質が形成される部位の分泌期エナメル芽細胞にみられた。生後の歯胚では,反応は咬頭付近のエナメル芽細胞,象牙芽細胞に見られた。歯根形成期ではHertwig上皮鞘付近でエナメル芽細胞およびセメント芽細胞にみられた。 BMP-4の免疫反応は歯胚においてはCBFA-1の局在と一致していた。骨芽細胞に分化すると考えられた間葉細胞や軟骨芽細胞に強い反応がみられた。BMP-4はおもに骨芽細胞の初期分化にCBFA-1はこれらの細胞の初期分化から成熟にいたる過程で重要な役割を果たしているものと考えられた。また歯の形成過程では,CBFA-1はBMP-4とともに上皮・間葉シグナル伝達物質として作用しているものと考えられた。
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