研究概要 |
平成14年度はヒト歯肉細胞HGE-15細胞を用いて,各種表面形状のチタンに対する実験を行った.その結果,鏡面研磨されたチタンが,TEM観察により細胞外基質と思われる物質と強固に接着していた.表面形状の携帯は粗造面または平滑面が良いと論文では二分されているが,TEMを使用した本実験において一定の見解を示した.平成15年としては,他細胞での比較を行うため,Human Normal Osteoblast Cells (HNOB)を使用して以下の実験を行った 【材料と方法】材料としては,コントロールとして,(1)培養用プラスティックディッシュ(ファルコン:F),(2)チタン合金(Ti-6Al-4V:CT),(4)鏡面研摩チタン合金(MRT:ダイヤモンド粉末研磨)(4)水熱処理チタン(HTT):耐熱性容器に300mlのイオン交換水をいれ、鏡面研磨された純チタン(JIS2種)を浸漬。この溶液中に可溶性リン酸カルシウム焼結体の破砕粉を入れた後、蒸気が漏れないように封入した。この容器を120℃、20h以上水熱処理(hydrothermal treatment)を施した。XPS(X-ray photo electron Spectroscopy)による表面分析では純チタン表面の酸化チタン層が研磨のみの群と比べて約2倍(8nm)に増加していた。また、カルシウムのピークも確認でき、水熱処理によりチタン表面にカルシウムイオンがコーティングされている事を確認した.HNOBを6×10^6個を各資料に播種し,観察期間としては30分,1時間,2時間,24時間,各資料は2.5%クルタールアルデヒドにて2時間固定後,通例に従い資料を作成し,走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察を行った. 【結果および考察】SEM所見:培養30分では,資料において細胞はFilopodian,Lamellipodiaを示し細胞の接着が見られたがMRTにおいて最も細胞形態の変化が認められた.培養2時間後では,細胞はさらに上皮特有の多角形を示し形態変化の割合は各種材料において差が認められなかった.しかしながら,培養1時間では,HTTにおいて,F,CT,MRTと比較して明らかに細胞が細胞塊周囲において細長く進展し,盛んに増殖している像がSEMおよび光学顕微鏡にて認められた.この傾向は培養時間が増すにつれて増大した.材料学的な差はCaイオンの存在の有無であるが,骨細胞においてはCaイオンの存在が重要であり,上皮細胞と明らかに異なった反応を示した.本実験から細胞の種類によって反応がことなる事が理解され,ヒト上皮細胞の科学的修飾に一つの示唆を与えるものであると理解され,今後これらの結果を踏まえ実験を行う予定である.
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