研究概要 |
本研究は,齲蝕や外傷により根管処置された歯は,支台築造後,歯冠修復され機能と審美性の回復が行われる.近年,象牙質接着の信頼性が向上し,新規材料の開発が進められている.そこで,欧米で既に臨床応用されているファイバー系既製ポストについて,その物性および支台築造における効果を検討することを目的とする. 14年度は,主にファイバー系既製ポストの機械的物性の検討を行った.入手可能であったファイバー系既製ポストを材料試験にて曲げ試験に供した.対象は,実際に市販されている金属製既製ポストとして,ステンレス鋼製,タイタニウム合金製を,また12%金含有金銀パラジウム合金のポストを鋳造にて製作して,ファイバー系既製ポストとの比較を行った.曲げ試験によって得るデータは,比例限,曲げ弾性係数である. その結果,ファイバー系既製ポストは,金属製既製ポストと同等の強度をもつが,弾性があり,柔軟性を有する材料であることが分かった.この結果を踏まえて,さらに模型実験などの設定を進めている.現在,ファイバー系既製ポストの耐久性を知る目的で急速劣化咬合力試験装置により,繰り返し荷重を負荷し,各種ファイバー系既製ポストの変位量と耐久性から評価を行っている.一方,臨床を想定した模型実験は,ウシ下顎前歯を使用して,倣い加工により同一形態のヒト上顎前歯を製作,その後,ファイバー系既製ポスト併用レジン支台築造,金属製既製ポスト併用レジン支台築造,鋳造支台築造を設定して,急速劣化咬合力試験装置による繰り返し荷重を負荷後の破折試験を進行中である.
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