研究概要 |
口腔癌と関連の深い細胞周期関連遺伝子についてDNA methylationの状態を分析するとともに、RNAの発現減弱を確認した上で、demethylation agentである5-Aza-Cで処理した時の再発現増強を確認した。腫瘍関連human DNA mechyltaransferase類の発現状態も検討した。 1)CDKN2A/p16遺伝子は48.0%にhypermethylationが認められた。脱メチル化により8種類の細胞株のうち6種類で発現再増強が認められた。 2)APC遺伝子は30,0%で発現減弱が認められ、CPG islandnのメチル化が24.0%に認められた。 3)FEZ1遺伝子は35.5%で発現減弱・消失を認め、26.0%にhypermethylationを認めた。脱メチル化により8種類の細胞株全てで再発現増強を示した。 4)p73KAI1遺伝子は83%で発現減弱を認めたが、hypermethylationは1例も検出されなかった。また、脱メチル化によっても再発現を認めなかった。 5)survivin遺伝子は、口腔扁平上皮癌の58%、前癌病変(白板症)で37%に発現を認めた。これに対して正常口腔粘膜ではsurvivin遺伝子の発現を認めず、また、約50%でmethylation specfic PCRでDNA methylationを検出した。8種類の口腔癌由来細胞株では脱メチル化により2種類の細胞株で発現増強を認めた。 6)DNA methyltransferase (DNMTs)は口腔癌で非常に高い発現を認め、その発現率はDNMT1で72%,DNMT3Aで56%,DNMT3Bで64%であった。 7)これらの癌関連遺伝子とmethyltransferaseの発現状態の間には相関関係が無かった。他の転写因子等の関与が考えられた。
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