研究概要 |
形態学的観察を進めた:E15〜E17胎仔の4%PFA固定-パラフィン包埋切片-HE染色切片を矢状、冠状、水平断で作成し、その形態を検討した。頭蓋底の胎仔軟骨組織は厚みが薄く、蝶形骨体部の中央では線維性組織を介在する所見が槻察された。それら軟骨を被覆する軟骨膜細胞層にも減少が観察された。また、軟骨を構成する軟骨細胞の各分化層にも変化が見られた。活性型Fgfr2を発現することにより頭蓋底軟骨縫合(蝶形-後頭軟骨縫合)の中央部に早期骨性閉鎖が観察されるが、この部位において静止軟骨細胞層が消失し肥大化層の拡大が観察された.同時に蝶形骨体部の骨化中心の大きさの減少が見られた。 Laser-microdissection(LMD)/Real time PCR(R-PCR)遺伝子発現定量解析:E15,E16胎仔について軟骨の静止層、増殖層、肥大化層のそれぞれをLMDし、逆転写反応で作成したcDNAを鋳型としたR-PCRを行い、遣伝子発現定量を試みた。現時点ではデータの安定性が完全とは言えず、確定的な結論を導き出すことは難しい。しかし、おおむね軟骨の分化発現が検出された。 これらの結果は頭蓋底軟骨組織内における異常なFGFR2シグナリングが軟骨細胞の分化と骨化の過程に促進的な作用を発現し、結果として軟骨原基の成長抑制、分化亢進による骨化の加速によって、頭蓋底の大きさの減少と頭蓋底軟骨縫合の早期閉鎖を結果したことを示唆した。
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