研究課題
前回、我々は血管拡張作用のみならず血管新生促進作用を有することが認められているリポプロスタグランジンE1(Lipo-PGE1)の癌の発育・進展に及ぼす影響についてウサギVX2舌癌モデルを用いて検討し、Lipo-PGE1は癌の増殖・転移に影響しないという結果を得た。今回、我々は抗癌剤の少量連日投与におけるLipo-PGE1併用による抗腫瘍効果の増強およびに副作用の軽減効果についてウサギVX2舌癌モデルを用いて実験検討した。方法は、オスの日本白色種ウサギを用い、VX2舌癌モデルを作製し、第1群:VX2腫瘍舌腫瘍移植群 第2群:VX2腫瘍舌腫瘍移植+シスプラチン投与群 第3群:VX2腫瘍舌腫瘍移植+シスプラチン+Lipo-PGE1投与群の3群に分けた。シスプラチン(0.3mg/kg)は単独もしくはLipo-PGE1(3μg/kg)と併用して第8日目から5日間連日投与し、13日目にウサギを犠牲死し、舌腫瘍の計測および所属リンパ節、肺への転移の有無について肉眼的、病理組織学的に検索した。また、腎を摘出し、腎障害の有無を病理組織学的に検索した。抗腫瘍効果およびに腎障害の程度についてTUNEL法によるアポトーシスの検出を行った。