研究概要 |
本研究の全体を通しての目的は、血管柄付き遊離長管骨を膜性骨(下顎骨>に移植した場合,ドナーである長管骨とレシピエントである膜性骨と間に形成されるカールス(仮骨)について,長管骨と膜性骨のどちらの骨形成および骨代謝機構に類似しているか,また,全く別の機構が存在しているのかについて形態学的,組織学的および分子生物学的に解析することにある。平成14年は,その目的達成ために,血管柄付き長管骨の膜性骨移植モデルをラットを用いて開発することに着手した。 移植長管骨には脛骨を使用し,the saphenous artery osteomusculocutaneous flapとして挙上することに成功した。筋弁としては,gracillis muscleとsemitendinoius muscleが複合されている.このcomposite free-flapを動脈は総頸動脈と端側吻合静脈は内頸静脈と端端吻合し,人工的に作成した下顎欠損部に移植骨である脛骨をマイクロプレートにて固定する。皮弁は頸部に逢着することによりモニターとして使用した。これはラットを使用した血管柄付き遊離骨移植による下顎再建モデルとしては世界初である。現段階での再建成功率は約90%であり,モデルとして充分に使用できるものであると考えられる。 このモデルを使用し,脛骨-下顎骨接合部において,実際のヒトでの悪性腫瘍後の再建と同様に,下顎骨は骨膜を除去,脛骨は骨膜を温存した状態を作成して,その部に形成されるカールスを軟X線撮影,HE染色によって術後7,10,14,28日目の状態を観察中である。同様にosteocalcin, BMP-2/-4,OP-1,TGF-βの発現様式を免疫染色法にて観察中である。結果は次年度に報告する予定である。
|