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2003 年度 実績報告書

硬組織移植再生医学の効率化のためのデフェンシンの発現調節

研究課題

研究課題/領域番号 14571889
研究機関岡山大学

研究代表者

水川 展吉  岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00263608)

研究分担者 菅原 利夫  岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10116048)
山合 友一朗  岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00158057)
キーワード移植再生 / デフェンシン / 抗菌ペプチド / HBD-2
研究概要

硬組織移植再生を行うにあたり,感染予防と治癒促進を効率良く行うことは,成否を分ける重要な要因となっている。抗菌ペプチドであるデフェンシンは、非免疫的な生体防御に関係すると報告され,抗菌、抗ウイルス、抗真菌など、幅広い作用が報告されている。しかし,本実験により感染の無いマウスの長管骨の単純骨折部位周囲および骨内に生じた嚢胞にも高濃度のαデフェンシンの発現を認め,βデフェンシンも同様に骨内に生じた嚢胞,マウスに移植した上皮癌細胞などにも発現が認められている。
これまでの多くの研究は生体防御機能ばかりに注目され,デフェンシンの発現が宿主側の細胞に及ぼす影響については,ほとんど注目されてこなかった。本実験から,ヒト由来ケラチノサイト(NHEK)とヒト扁平上皮癌細胞(HSC-4)とを共存培養することでHBD-2が上昇することを明らかにした。また,高濃度なHBD-2(0.01mM)の存在下ではヒト由来ケラチノサイト(NHEK)のDNA合成は影響を受けないが,分裂活性が低下することが明らかになった。これはセルサイクルにおいてS期には影響しないがM期に移行することを阻害する事で分裂活性の低下を引き起こすことが解明された。われわれが以前行った研究より、αおよびβデフェンシンがラット肥満細胞から最も強力であると思われるヒスタミン遊離作用をもつことを報告してきた。
このことから移植等により異なる種類の細胞が接することにより,移植部位でHBD-2の濃度が上昇し,その周囲にヒスタミン遊離による炎症が生じるだけでなく,宿主側の正常細胞の増殖を低下させる可能性が示唆された。
以上のことから、抗菌作用を失わないで細胞の分裂活性に影響を与えない範囲にデフェンシンの発現を調整することができれば,硬組織移植の大きな鍵をにぎることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Mizukaw N., Sugahara T.: "Presence of human β defensin-2 in oral lichen planus and its histamine releasing effect"Asian J Oral Maxillofac Surg. 15. 112-117 (2003)

  • [文献書誌] Yoshimoto T, Yamaai T, Mizukawa N, Sugahara T: "Different Expression Patterns of beta-Defensins in Human Squamous Cell Carcinom as"Anticancer Research. 23. 4629-4634 (2003)

  • [文献書誌] Sawaki K., Yamaai T., Mizukawa N., Sugahara T.: "Mortality of human epidermal keratinocytes in co-culture with oral squamous cell car cinoma cells"Anticancer Research. 23. 79-84 (2003)

  • [文献書誌] Sawaki K., Mizukawa N., Yamaai T., Sugahara T.: "High Concentration of β-Defensin-2 in Oral Squamous Cell Carcinoma"Anticancer Research. 22. 2103-2108 (2002)

  • [文献書誌] Mizukawa N, Sugahara T: "Histamine Release from Rat Mast Cells Induced by Human α-Defensin-1 present in Jaw Cyst Fluid"Asian J Oral Maxillofac Surg. 14. 35-39 (2002)

  • [文献書誌] Ueno T, Mizukawa N, Sugahara T: "Evaluation of Osteogenic/Chondrogenic cellular Proliferation in the Xenogeneic Periosteal graft.."Ann Plast Surg. 48. 539-545 (2002)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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