星状神経節の神経ブロックとその近傍への直線偏光近赤外線の光線照射の各照射用量が前頭部脳細胞に対していかなる影響を与えるかを、脳波の相対的パワーおよびその周波数スペクトル分析による90% power spectral analysis (SEF90)とspectral median frequency (SMF)により検討した。 神経ブロックは速波の相対的増加とSMF値、SEF90値の増加現象をブロック後15分くらいまでは非ブロック側で、ブロック側では徐々に20〜30分で認め、脳細胞が賦活化されることが示唆された。一方、90〜180J/cm^2放射束の照射量では速波の相対的増加とSMF値、SEF90値の増加現象を両側において認め、脳細胞の賦活化現象が示唆され、しかもより、θ波の相対的パワーの増加現象については神経ブロックよりも90J/cm^2放射束の照射量はより大きいことが示唆された。一方、360J/cm^2放射束の照射量ではむしろSMF値、SEF90値の減少を認め、脳細胞が鎮静化されるという、相反的作用を認めた。 以上の結果より、星状神経節近傍への90〜180J/cm^2放射束の直線偏光近赤外線照射は星状神経節ブロックと同様な脳細胞賦活作用があることがわかり、星状神経節ブロックに代り、合併症無しに非侵襲的に脳細胞を賦活化できる物理療法として今後応用できる可能性が高いと考えられる。また、逆に星状神経節近傍への360J/cm^2放射束の直線偏光近赤外線の照射は異常興奮している脳細胞を抑制し、正常化させる治療法として応用できる可能性が示唆された。
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