研究概要 |
1:in vitroにおいてSAS、Ca9-22にEGFを作用させ、EGF濃度変化が浸潤能に与える影響を検討した。 ・HUVECを用いたin vitro invasion assayにおいてSAS、Ca9-22ともにEGF処理によりその浸潤能が有意に促進された。 ・EGF濃度を1,5,10,20,50,100ng/mlで処理を行ったところ20ng/mlまで濃度依存性に浸潤能が促進された。 2:EGFがヒト口腔癌細胞の運動能に与える影響を検討した。 Ca9-22よりEGFに対し高感受性をしめすs-1を樹立した。以下、s-1を使用した。 ・EGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(Erbstatin)、PI turnover阻害剤(Psi-tectorigenin)によりs-1細胞のEGFによる運動能促進は抑制された。 ・PMAによりPKCを活性化することによりs-1細胞の運動能は促進され、PKC阻害剤によりs-1細胞の運動能は抑制された。 ・EGF刺激によりs-1細胞のPKCは細胞質から細胞膜への局在変化を示した。 以上のことより、EGFが癌細胞の転移形成に必要不可欠な運動能を促進する際の細胞内情報伝達経路として、EGF受容体自己リン酸化後のPLCγの活性化とPKCの活性化が深く関与している可能性が示唆された。 3:EGF長期間処理が遺伝的不安定性に与える影響 ヒト口腔癌の系では明らかとはならなかったが、ラット乳癌の系にてEGF長期間処理が遺伝的不安定性を増強することをDNAフィンガープリンティング法にて明らかとした。
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