現在、扁平苔癬患者粘膜と対照である健常者口腔粘膜の分析を行っている。汚染元素に注目すれば、今のところ、両者からアルミニウム、チタン、ガリウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、銀、スズ、金、水銀、鉛の11種類を検出している。これらの汚染元素のうち、アルミニウムと鉛は健常群、扁平苔癬群共に100%の検出率であった。この元素を組織濃度でみると、アルミニウムは対照群で71.5μg/gで、扁平苔癬群は66.3μg/gであった。また、鉛は対照群5.6μg/gで、扁平苔癬群6.14±5.53μg/gであった。今後、検体数を増やして、より精度の高い比較を行う予定である。 本年度は、これら口腔粘膜含有元素の健常値を算出するために、100例の健常粘膜についての微量元素分析を報告した。また、このうちの本来生体に不要な元素(汚染元素)で、検出率の高かったアルミニウムと鉛について、性別、年齢別の口腔粘膜含有量分布を報告した。 また、結果の一部は16th International Conference on Oral and Maxillofacial Surgeryで発表した。
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