研究概要 |
1.ヒト骨髄間葉系細胞の移植骨としての有用性の検討:骨髄間葉系細胞のdonorとしてはヒト腸骨海綿骨を対象とし,採取された骨髄は初代培養し,多孔体ハイドロキシアパタイト上にこの骨髄間葉系細胞を増殖させ代替移植骨を作製した.この代替移植骨を動物(ヌードマウス)移植し骨組織のviabilityを検索した. 2.ヒト骨髄間葉系細胞から骨芽細胞を分離・保存・増殖の確立:唇顎裂,唇顎口蓋裂よりヒト腸骨海綿骨を採取、初代培養後,骨芽細胞を分離し凍結保存.一定期問凍結保存後,増殖させ,動物実験によりそのviabilityを確認した. 実験:凍結保存されたヒト骨髄細胞を用いて実現可能か否か検討を行なった。 ヒト骨髄細胞を培養増殖させ、凍結保存し、3年経過した細胞を解凍後再培養した。この細胞を多孔体ハイドロキシアパタイトとBMPの複合体に播種しヌードマウス皮下に移植した。他方、多孔体ハイドロキシアパタイトに細胞を播種後、培地中にBMPを添加し10日間培養して移植を行った。この2者の骨形成を比較した。細胞を多孔体ハイドロキシアパタイトとBMPの複合体に播種し移植したものは2週で成熟骨の形成が認められた。一方、後者では4週でわずかな骨形成を認めた。 以上の実験より、凍結保存された培養ヒト骨髄間葉系細胞を多孔体ハイドロキシアパタイトに播種し、それにBMPを作用させることにより、生体内で成熟骨の形成をみることが確認された。また保存しておいた自己骨髄間葉系細胞を解凍、再培養して多孔体ハイドロキシアパタイト上に播種しBMPを作用させ移植材料として利用する手法は、今後BMPの投与量の調整や多孔体ハイドロキシアパタイトの多孔の調整によって、臨床に使用できるものと考えられた。
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