研究概要 |
骨欠損後の治療には生体材料を填入するなどの方法が行われているが,これらの材料は生体と異物反応を生じるなど多くの問題点が残されている。そこで,骨髄幹細胞による組織工学を用いた骨誘導を行い,異所性骨形成の進行とBMPを中心にした骨形成における成長因子の遺伝子伝達機構を検索する。 材料と方法 体重約100gのwistar系ラットを用いる。長骨より骨髄細胞を分離して,多孔性CPCを培養シャーレにおき,dexamethasone, BMR, TGF-βを含むα-MEM培地で10日間培養を行う。培養後1,3,4,7,14,21日後に4% paraformaldehyde溶液で固定を行った。各種成長因子およびreceptorの遺伝子発現および蛋白の局在を観察した。 埋入後1日目では,脱灰骨移植片周囲にリンパ球が多数集合した炎症像がみられた。移植後3日目では移植片周囲の炎症像は消失し,多数の毛細血管および細動脈が新生された。また,移植片周囲には軟骨組織が新生された。移植後7〜10日目では軟骨組織は骨組織に置換された。TGFおよびBMPとその特異的receptorの局在および遺伝子発現は一致していた。反応は埋入後1日目では,リンパ浸潤,軟骨が新生される部位では前軟骨細胞,骨形成部位では前骨芽細胞に最も強かった。骨芽細胞TGF-βの反応はBMPよりも強かった。NogginおよびCBFA-1の反応は骨芽細胞に強くみられた。 骨誘導において、CBFA-1およびNogginの発現はBMP-4によって促進され骨芽細胞や軟骨細胞の分化を調節し,signalはSmad familyによって仲介されているものと考えられた。
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