研究概要 |
口腔粘膜の白板症、扁平上皮癌、腺様嚢胞癌および手術の際に安全域として切除されたそれぞれの病理組織学的に正常な組織について、DNA Array(Atlas^<TM> Human Cancer 1.2 Array, Clontech)を用いた検索を行いその結果について多変量解析を行った。 それぞれの疾患に対する決定木(パテーション)分析の際に、最適な分岐点となる遺伝子について検討した結果、DNA Arrayにより検索した1185の遺伝子のなかで、ガン遺伝子、ガン抑制遺伝子、サイトケラチン、接着因子、サイトカインなど様々な種類の働きをもつ31種の遺伝子が候補に上がった。さらに、これらの遺伝子を中心とした、階層化クラスター分析を行った結果、各腫瘍組織における遺伝発現プロファイルは母組織のそれと関連性が深く樹形図において粘膜上皮由来のものと唾液腺上皮由来のものはそれぞれの母組織である口腔粘膜、唾液組織を伴う2つの大きなクラスターに分けられ、次いで、正常組織と腫瘍のクラスターに分かれる。つまり、腺様嚢胞癌と顎下腺組織、あるいは扁平上皮癌や白板症と口腔粘膜は隣り合ったクラスターに位置し、腺様嚢胞癌と扁平上皮癌や白板症とは樹形図の遠く離れた位置に存在することが判明した。
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