研究課題/領域番号 |
14571941
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
割田 博之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30262207)
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研究分担者 |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20292980)
相馬 邦道 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10014200)
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キーワード | 一酸化窒素 / 歯根膜 / シグナル伝達 / aging / メカニカルストレス / 酸化ストレス / 咬合力 / 矯正力 |
研究概要 |
歯科矯正臨床において高齢者の患者数が増加していることから、歯根膜におけるagingの影響を明らかにすることは急務である。近年、医学分野において、agingとともに各種器官の活動性が変化し酸化ストレスが増加するとの報告が多くなされていることから、歯根膜において酸化ストレスが増加していることが考えられる。この酸化ストレスの担い手の一つである一酸化窒素(NO)は、細胞内でSOD(superoxide dismutase)等の抗酸化物質により消去される(抗酸化ストレス反応)。一方、咬合力や矯正力といった外力により、歯根膜の機能が回復・向上することが種々の動物実験により明らかになりつつある。すなわち、歯根膜の細胞レベルでは、メカニカルストレスによって伝達されるシグナルの働きにより、ストレスによってもたらされる変化からの復帰とさらなる活性化が行われていると考えられる。 今年度はまず、ラットの実験モデルを用いて、咬合力や矯正力に対する歯根膜の応答を酵素組織学的並びに免疫組織学的に検討した。その結果、咬合機能低下歯根膜に対して咬合力を加えることにより歯根膜機能が回復する際、NO合成酵素(NOS)のうちeNOS、iNOSが発現することを解明した。一方、弱い持続的な矯正力負荷時における歯根膜の経時的な応答については、これまで考えられていた時間より早いことがNOSの発現を通して明らかとなった。次に、歯肉の血管に対するagingの影響を検討したところ、ラット歯肉において分布様式が変わることがわかり、今後agingとメカニカルストレスとの関連を解析する上での足がかりとなった。また、in vitroの実験系を用いて、歯根膜細胞や骨芽細胞の活性化に最適なメカニカルストレスのシグナル伝達系の一部を解明した。
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