研究課題/領域番号 |
14571950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 栄二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40273693)
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研究分担者 |
杉山 勝 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70187681)
丹根 一夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30159032)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 顎関節円板 / 粘弾性特性 / 潤滑機能 / 円板培養細胞 / 機械的負荷 / 関節内摩擦 / ヒアルロン酸 / 血小板由来増殖因子 |
研究概要 |
本研究における目的は機械的負荷に対する顎関節円板の生体反応を明らかとし、顎関節内の力学環境を詳細に把握するとともに、円板組織の再生を行なう上で必要不可欠な情報を得ることである。顎関節円板のin vivo研究により、その動的引張り特性については円板を構成するコラーゲン線維およびプロテオグリカンがそれぞれ弾性力と粘性力に関連すること、組織疲労や損傷と関連がある動的せん断特性については前後方向には強い抵抗性を示すものの、内外側方向にはきわめて弱いことが明らかとなった。この結果は円板組織の再生が実現できた際に再生組織の生体力学的特性を比較する重要な基礎データとなる。また、顎関節内の潤滑機能を明らかとするために行った顎関節内摩擦係数の測定実験の結果としては、顎関節における関節軟骨-円板-関節軟骨間の摩擦係数は他の関節と同様にきわめて小さいものの、長時間の負荷や関節表面の破壊によって摩擦係数がきわめて大きくなることが明らかとなった。さらに、高分子ヒアルロン酸の関節内注入によって潤滑機能がある程度回復することも明らかとした。 顎関節円板細胞を用いたin vitro研究として、培養細胞に対するヒアルロン酸および血小板由来増殖因子(PDGF)の影響についても検討した。結果として、ヒアルロン酸ならびにPDGF添加が顎関節円板培養細胞の増殖能および基質合成能を高めることが明らかとなった。また、ラット顎関節円板を用いたex vivo研究として、ラット顎関節円板に人為的に直径0.5mmの穿孔を作成し、PGDF添加培地での器官培養を行なった。培養1-2週間で円板穿孔部位に沿って細胞の増殖が認められ、損傷組織に対する再生の可能性が示唆された。本研究の結果より、顎関節円板の組織再生の方向性が与えられたと考える。
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