研究概要 |
小児歯科の領域では幼若永久歯が治療の対象となる場合が多く,歯の脱臼や歯内療法が必要なケースでは歯根の閉鎖を念頭に入れて治療を行う必要がある。そこで歯の発育,とくに歯根形成中のセメント質に焦点を当て研究を進めている。歯根形成中のセメント質においてエナメルマトリックスプロテイン(EMP)が関与しているとされている。マウスから得られたセメント芽細胞株(OC-CM)にEMPを作用させたところ,EMPは細胞の増殖を促進し,石灰化を抑制するという興味ある結果が得られた。今年度はEMPをセメント芽細胞に異なった時期に作用させた場合の効果について検討している。マウスから得られたセメント芽細胞にEMP(50μg/ml,5μg/ml),石灰化促進supplementを添加,培養を行った。EMPは2種類の濃度でday0,day2,day4,day6,day0〜day6に添加した。EMP添加後8日目にVon Kossa染色を行い石灰化結節の形成を比較したところ,day0,day2,day4,day0〜day6EMP添加群では50μg/mlの濃度では石灰化が抑制される傾向が認められたが,day6にEMPを添加したものでは石灰化が抑制される傾向は認められなかった。5μg/ml添加群ではコントロール群と同様な結果であり,先に報告した実験の結果とも一致していた。石灰化アッセイからみると培養期間中,EMPを異なった時期に作用させるとDay6群において他の群とは効果が異なり,EMPを同一の細胞に作用させた場合でも時期が異なれば効果に差があることが示唆された。増殖能およびノーザンブロット(Osteopontin : OP, Osteocalcin : OCN, Type I Collagen : Col I, Bone Sialoprotein : BSPなどの石灰化に関連したm-RNAの発現)等に関しては現在検討中である。
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