研究課題/領域番号 |
14571979
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
奥田 一博 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (00169228)
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研究分担者 |
村田 雅史 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (40303135)
川瀬 知之 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90191999)
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キーワード | 多血小板血漿 / PDGF / TGF-β / 骨芽細胞 / 歯根膜細胞 / DNA合成活性 / フィブリン / 歯周骨内欠損 |
研究概要 |
多血小板血漿の採取法は2400回転、10分間遠心し、下層の細胞成分を廃棄して、残りを再度3600回転、15分間遠心して、上層の無血小板血漿を廃棄することで回収した。この多血小板血漿中に含まれる増殖因子を測定したところ、血漿と比較して血小板数で約2.8倍、PDGF-AB濃度で約4.4倍、TGF-β濃度で約3.5倍であった。骨芽細胞、歯根膜細胞、歯肉線維芽細胞、上皮細胞に対して多血小板血漿を投与し、DNA合成活性を免疫学的に発色させて定量的に測定した。多血小板血漿は、骨芽細胞のDNA合成活性をコントロールと比較して138%促進させ、上皮細胞のそれを80%抑制させた。歯根膜細胞、歯肉線維芽細胞においてもDNA合成活性の増殖が促進された。さらに、培養歯根膜細胞において多血小板血漿添加後30分以内にゲル様物質の形成が認められ、24時間後では細胞形態は多数の偽足様突起を形成し、多量のcollagen産生が観察された。また歯根膜細胞にはthrombinが発現していること、多血小板血漿中には血漿中よりの高いレベルのfibrinogenが含まれていること、ゲル様物質にはfibrin networkが形成されていることが確認された。これらの所見からゲル様物質はfibrin塊であり、多血小板血漿はfibrin塊の形成を介して歯根膜細胞のcollagen形成を促進することが証明された。次に多血小板血漿の臨床効果を知る目的で、アルギン酸ナトリウムで活性化させた多血小板血漿をハイドロキシアパタイトと混合した複合体を作り、歯周骨内欠損に移植した。6か月後の評価ではベースラインと比較して歯周ポケット深さで約4.1mmの減少、付着レベルで約2.3mmの獲得、レントゲン写真による骨欠損深さは約2.4mmの減少であった。以上より、この複合体は、歯周骨内欠損に対して臨床的に有効であることが明らかとなった。
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