研究概要 |
前年度までに得られた、多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma;PRP)の臨床効果を国際学会(第90回米国歯周病学会)で発表して、国際雑誌(Journal of Periodontology)にその論文の掲載が受理された。また、PRP中に含まれるフィブリンにより歯根膜細胞からコラーゲン産生が促進されること、さらにPRPはアルカリフォスファターゼ(ALP)活性をあげるが、増殖因子はこの作用がないことを明らかにして国際雑誌(Journal of Periodontology)にその論文の掲載が受理された。さらに歯根膜細胞の石灰化への分化指標としてCbfal,BSP,OCN,ALPとし、PRP+歯根膜細胞+アテロコラーゲンのin vitroにおける電子顕微鏡所見として石灰化マトリックスの形成を確認した。これより、PRPに含まれる血小板の細胞膜は石灰化の核として作用することを明らかにした。 培養歯肉に関しては、培養上皮シートを慢性剥離性歯肉炎患者に臨床応用したところ、シートから放出される増殖因子の効果により極めて良好な予後が得られた。この症例報告も国際雑誌(The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry)に掲載された。 培養骨に関しては、気孔率の高いハイドロキシアパタイトブロック上で、PRPを添加した状態で歯根膜細胞を播種した。その結果、回転培養方法を工夫することで歯根膜細胞の気孔内への積極的導入に成功し、高い増殖活性がみられた。 今後は、本研究の成果を踏まえ、in vivoにおける石灰化を確認するべく動物皮下での移植効果を検討している。
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