研究分担者 |
新井 英雄 岡山大学, 歯学部附属病院, 講師 (70222718)
西村 英紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80208222)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50226768)
河野 隆幸 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (80284074)
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
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研究概要 |
【研究目的】 TNF-αは,多くの免疫担当細胞に炎症性サイトカイン産生を促す働きがあり,歯周炎の慢性化に与っている。さらに,このサイトカインは破骨細胞の成熟に直接的に関わるという特徴がある。従って,TNF-α産生のメカニズムは歯周病の病態を理解する上で重要な研究課題である。従来,ヒトTNF-αの遺伝子発現はNF-κBによって制御されると理解されてきた。最近我々は,LPS刺激したヒト単球からこれとは全く異なる新規転写因子LITAF(LPS-Induced TNF-αFactor)を同定することに成功した。そして,LITAF antisense RNAを発現するTHP-1細胞においては,LPS刺激によるTNF-α遺伝子の転写は抑制されることを示した。従って,TNF-α遺伝子発現のメカニズムはLITAFを介する経路から捉える必要がでてきた。本研究では,LPS刺激した細胞において,LITAF遺伝子の発現動態をmRNAとタンパクレベルで明らかにするとともに,LITAF遺伝子の転写制御因子について調べた。 【材料と方法】 1.LITAFのmRNAとタンパクの検出:LPS刺激したTHP-1細胞あるいはJurkat細胞において,mRNAは定量RT-PCR法で検出し,タンパクの局在は免疫染色法で調べた。 2.プロモーター領域塩基配列の解析:LITAFのプロモーター領域のDNAをクローニング,シークエンスした。そして,どの部位に既知の転写因子が結合可能であるのかは,TFSEARCHならびにMOTIFプログラムを利用して解析した。 3.プロモーターアッセイ:上記DNAはレポータープラスミドにサブクローニングし,THP-1細胞とJurkat細胞に導入してプロモーターアッセイを行った。 【結果と考察】 いずれの細胞においても,LITAF mRNAはLPS刺激によって増加した。LITAF遺伝子の転写活性は,その転写開始点の上流209塩基から43塩基の領域に最も高い値を検出した。この領域にはAP-1とAP-2が結合可能な配列が存在したので,LPS刺激時にはこれらの転写因子を介してLITAF遺伝子が活性化される可能性がある。 LITAFタンパクは無刺激の状態でも細胞質と核内の両方に検出し,LPS刺激ではその直後から核内のLITAFタンパク量が増加した。LITAFはnuclcear localization signalが無いので,他のタンパクと結合して核内へ輸送されるのか,あるいは未知のメカニズムで輸送されるのかも知れない。
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