研究課題/領域番号 |
14571983
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
片岡 正俊 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (20224438)
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研究分担者 |
瀬戸 浩行 徳島大学, 歯学部, 助手 (90335802)
木戸 淳一 徳島大学, 歯学部, 助教授 (10195315)
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キーワード | サイクロスポリンA / 歯肉増殖症 / 線維芽細胞 / α2インテグリン / コラーゲンファゴサイトーシス / AP-1 |
研究概要 |
免疫抑制剤サイクロスポリンAの副作用としてI型コラーゲン増生を特徴とする歯肉増殖症が知られている。我々は既に、CsA誘発性歯肉増殖症ラットモデルを用いて、その発症機構として歯肉結合組織でのI型コラーゲンの分解抑制・特に線維芽細胞自身によるコラーゲンファゴサイトーシスの抑制により発症する可能性を報告している。ところで、線維芽細胞によるコラーゲンファゴサイトーシスにおいては、線維芽細胞膜上で発現するα2β1インテグリンは同線維の受容体として働き、更にα2インテグリンが同線維の細胞への結合を制御することが知られている。歯肉増殖症においても、線維芽細胞で発現するαインテグリンが、その発症機構の中心的な役割を果たす可能性が高い。 本研究ではラットモデルを用いて、CsA誘発性歯肉増殖症発症におけるα2インテグリンの発現を検討した。まず、CsA投与ラット及び正常ラット歯肉線維芽細胞を分離培養し、それらのコラーゲンファゴサイトーシス能をI型コラーゲンで表面処理した蛍光標識ラテックスビーズの細胞への取り込みをFACScanにて測定すると、CsA投与群では対照群の約1/3にまで抑制されていた。また細胞膜上でのα2インテグリンの発現量は、蛍光標識抗体を用いてFACScanにて定量化したところ、CsA投与群では対照群に比較して約28%の発現抑制を確認した。これらCsA投与群におけるα2インテグリン発現抑制が転写レベルでの抑制なのかどうかををRT-PCR法にて検討したところ、CsA投与群では明らかに同インテグリンmRNA発現の抑制を認め、以上のことからCsA誘発性歯肉増殖症発症におけるα2インテグリンの関与を認めた(投稿中)。さらに歯肉増殖症におけるα2インテグリン発現調節機構を明らかにするため、正常ラット由来培養歯肉線維芽細胞の培養系にCsAを添加し、AP-1をはじめα2インテグリンmRNA発現を調節するエンハンサー等の発現あるいはリン酸化について検討予定である。
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