スフィンゴ脂質からスフィンゴミエリナーゼにより産生されるセラミドは様々な疾患における病因・病態における重要な因子であり、スフィンゴ脂質からスフィンゴミエリナーゼによるセラミド産生系を介し炎症、細胞増殖、アポトーシスに関わることが報告されている。平成14・15年度の2年間で以下の実験を行った。 1.プロスタグランジンE_2産生 歯肉線維芽細胞にC_2-セラミドを作用させプロスタグランジンE_2(PGE_2)量をELISA法により測定した。C_2-セラミドは濃度依存的(10-50μM)および経時的(6-24時間)にIL-1βによるPGE_2産生を抑制した。C_2-セラミド単独では対照と比較してわずかなPGE_2産生が認められた。C_2-セラミドのアナログを同様に作用させたがIL-1βによるPGE_2産生は影響を受けなかった。 2.細胞内カルシウムイオン濃度 歯肉線維芽細胞にブラジキニン作用させたことによる細胞内カルシウムイオン濃度上昇はC_2-セラミド前処置により抑制された。しかしC_2-セラミドのアナログは抑制を示さなかった。C_2-セラミド単独では細胞内カルシウムイオン濃度の変化に影響を与えなかった。 3.COX-2発現 PGE_2産生酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX-2)発現に対するC_2-セラミドの効果についてRT-PCR法により測定した。C_2-セラミド単独でCOX-2発現が認められ、C_2-セラミドのアナログではCOX-2は発現しなかった。さらにIL-1βによるCOX-2発現をC_2-セラミドは部分的な抑制を示したが、アナログは抑制作用を示さなかった。 以上の結果よりC_2-セラミドは歯肉線維芽細胞における炎症応答の即時的応答(プラジキニンに対する作用)と遅発応答(1L-1βに対する作用)の反応の両方を抑制し、抗炎症作用を有することが示唆された。
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