研究概要 |
ビタミンDの標的遺伝子応答配列(vDRE)は現在までに約20種知られている.それらの内,マウスオステオポンチンVDRE(GGTTCAcgaGGTTCA)は,ビタミンD受容体(VDR)と最も親和性の高いVDREの1つである.オステオポンチンは,骨の主要なリンタンパク質であり,カルシウムへの親和性が高く石灰化組織の形成やそのリモデリングに関与していると考えられている.今回はマウスオステオポンチンVDREをルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に組み込んだプラスミドを用い,種々のビタミンDアナログによる遺伝子転写活性化能を測定した.細胞はCos7を用い,ヒトVDRを組み込んだプラスミドとマウスオステオポンチンVDREを組み込んだレポータープラスミド,内部標準用プラスミドをリポフェクション法によりコトランスフェクトした.作用分離を示すなどの特徴的なビタミンDアナログをリガンドとして用い標的遺伝子転写活性化能を測定した.その結果,VDRへの親和性が天然のホルモンである1,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25-3)の1/8でカルシウム作用(BMC)の弱いOCTは1,25-D3と同等の活性を、VDRへの親和性が1,25-D3の約10倍でカルシウム作用の強い22R-Me-20-epi-1,25-D3は1,25-D3の100倍の強い転写活性を示した.このことは作用分離を示すOCTも示さない22R-Me-20-epi-1,25-D3も共にVDRへの相対的親和性の約10倍の遺伝子転写活性を示したと考えることができる.従って,カルシウムに関与していることが知られているオステオポンチン遺伝子の転写制御のみで作用分離を説明することはできないことが明らかとなった.
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