研究概要 |
本研究では、新規リパーゼTLを用いた光学分割反応として、C5ユニット及びC3ユニットを有する脂肪族2級アルコールの光学分割反応を検討した。その結果、C5ユニットの光学分割反応においては、低温でビリジンなどの添加が効果的であることを見出し、得られたアルコール、アセテートをそれぞれピベラジン酸の両鏡像異性体に誘導することが出来た。又、一方をp-メトキシベンジル基、他方をTBDMS基で保護したグリセロール誘導体を合成、これに酢酸ビニル存在下リパーゼTLを作用させることにより、光学純度の高いアセテート及びアルコールを得ることが出来ることを見いだした。これらの生成物は脱保護の順番を変えることで、いずれからも同一の立体配置を有するアルコールに誘導できた。一方、リパーゼTLが2級カルビノール炭素の立体を高度に認識していることを利用し、複数の2級水酸基を持つ天然物の位置選択的なアセテル化が可能ではないかと考え、シソ科rabdosia excisaより原料となる種々のポリヒドロキシエントカクレン型ジテルペン類を単離した。この研究中単離した天然物に強力な抗腫瘍活性が見出されたことから、それらの構造活性相関研究を考慮に入れたアナログ合成も検討し、1,14-ジヒドロキシエントカウレン型ジテルペンから抗腫瘍活性エントアピエタン型ジテルペンへの光延反応条件下での効率的変換反応を見出した。得られたジテルペンの構造活性相関も行った結果、興味ある知見が得られた。更に、強力なアポトーシス誘導活性を有する環状デブシペプチドGE3及びアナログ合成においては、ピベラジン酸の両鏡像体の多量合成、残る4つの構成アミノ酸の合成、側差の構築を行った。現在、それらのセグメントのカップリングを検討しているところである。
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