研究概要 |
1.先に,我々はオトギリソウ科Garcinia属植物から,多数のキサントン類と共に,高等植物からは最初の例としてデプシドン骨格を持つ化合物を単離・構造決定し,報告した。今回,タイで採集したG.fuscaおよびパプアニューギニアで採集したG.assguの樹皮について成分検索を行ない,単離した化合物について発がんプロモーション抑制活性試験(TPAによるEBV早期抗原誘導抑制活性試験)および抗酸化活性試験(DPPHラジカル消去活性試験)を実施した。 (1)G.fuscaからは,新しいキサントン8種を単離,fuscaxanthone A〜Hと命名し,構造決定した。これらの化合物は,いずれもプレニル基,ゲラニル基,あるいはこれらに由来するピラン環構造を持っている。これらに対する発がんプロモーション抑制活性試験の結果では,特に強い活性を示すものはなかった。 (2)G.assiguからは,2種の新しいポリプレニル化ベンゾフェノン類を単離,構造決定した。同時に単離した既知構造のベンゾフェノン類4種と共に発がんプロモーション抑制活性試験および抗酸化活性試験を実施した結果,共の特に強い活性は認められなかった。 2.ミカン科植物から単離した17種のアクリドンアルカロイドについて,発がんプロモーション抑制活性試験を実施した結果,atalaphyllinine, severifoline, glycocitrine-IIなどに強い活性を認めた。また,マウス皮膚2段階発がん抑制活性試験の結果でも強い活性が認められ,これらは発がんプロモーション抑制試薬として有用であることを認めた。
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