研究概要 |
微小管安定化効果を有するdiscodemolideおよびlaulimalideの合成研究を行っている。 Discodermolideの形式合成を達成した。(R)-リンゴ酸から立体選択的に合成された光学活性(2S,3S,4R)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-2-メトキシカルボニル-3-メチルシクロペンタノンを(2R,3S,4R)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-3-メチルシクロペンタノンへ変換後、Baeyer-Villiger反応させると対応する三置換δ-ラクトン、(4R,5R,6S)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-6-(tert-ブチルジメチルシリルオキシメチル)-5-メチルテトラヒドロピラン-2-オンが得られた。本反応はケトン基の周辺の置換基の立体障害のために反応速度が極めて遅く、通常の反応条件では約1週間必要であったが、改良無溶媒反応条件を用いると反応時問が10時間に短縮され、ほぼ定量的に生成物が得られた。続いてテトラヒドロピラン環の3-位に立体選択的にメチル基を導入後、6-位側鎖の延長、立体選択的ヒドロキシ基の導入により抗腫瘍活性をもつ微小管安定化剤discodermolideのC1-C8フラグメント、(2S)-2-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3-[(2S,3S,4S,5R)-4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-3,5-ジメチル-6-オキソテトラヒドロピラン-2-イル]プロパナールを合成することができた。このものはSmithらが報告した全合成の中間体と一致した。 一方、laulimalideの合成は現在C1-C12フラグメントおよびC13-C28フラグメントの合成を行っている。
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